【美容師 人気記事再投稿】店販商品を「押し売りで売らない」最高の美容師とはどんな人
「店販商品を売らない!」美容師の訳
魚屋さんに買い物に行ったことってありますか?スーパーとかではなくて、
魚だけを専門に扱う商店街にあるような魚屋さんです。
それかもしくは、市場なんかでも良いでしょう。鮮魚市場に行くと、
魚介類が大量に並んでいる様子を目にすることができますね。
私の実家が魚を食べるのが大好きだったこともあって、懇意にしている魚屋さんに行ったり、
魚屋のお手伝いと称して、明け方の市場に連れて行ってもらっていた経験がありました。
そういうところで買い物(当時は仕入れでしたが)をしていると、
時々、魚屋さんが魚を売ってくれないという場面に遭遇することがあります。
「これが欲しい」と言っても、「それはダメだ」と売ってくれないのです。
なぜかというと、あまり良い素材ではないから。
魚という食材は、その時々の天候や海の状態によってかなり味が変わります。
悪天候でまともな魚が取れていないこともあれば、気温が普段とは違っていて、
おいしくないということもあるわけです。
プロである魚屋さんは、そうした味の変化をよく理解しているので、
「これは良くない」というものは、ある程度顔を見知った相手になると売ってくれなかったりするわけですね。
その逆に、「だったら今日はこっちが良いよ」と別のものを勧めてくれることもあります。
でも今振り返ってみると、こういう中で育ってきた私はすごくラッキーだったのかもしれません。
なぜかというと、「売らない決断」をできるからです。
「良くないものは売らない」という判断をしている大人を間近で見てきたものですから、
目の前のお客様にとって”良くないもの”は売らない、その代わりにお客様に合った”良いものを勧める”という
感覚があったように感じています。
もし良いものがなければ、「次にお客様に合った良いものをお持ち致します」と言える。
これって結構難しいと思うのです。
実際、私も全ての場面でそうできたかというとやっぱりそうはいきませんでした。
どうしても売り上げを上げたい時や、どうしても自分よがりになって売りたい商品があるという時は、
ついお客様のためではなく、自分のために商品を売ってしまうこともありました。
今はコロナの影響もあって、特に売り上げが欲しい時期でもあるでしょうし、
私自身、コロナの影響は思い切り食らっていますから、ついやってしまいそうになります。
でも幸い、この1年は特にこのことを強く考えることができました。
幼少期に過ごしてきた生活の中のことを振り返り、自分よがりになって売るということはせずに、
「これは良くないからやめときましょう」「その代わりこれはどうですか?」と伝えることができています。
そうするとどういうことが起こるかというと、やっぱり売った後の満足度が違うのです。
私が売っているのは美容商材・美容機器やコンサルといった有形と無形の商品ですが、
終わった後のクライアントの反応を見ると、やっぱりあそこで無理に売らなくてよかったなと感じます。
美容室の現場でも同じことは常に言えます。その瞬間、
どうしても売り上げが欲しくなって自分たちのためにも売り上げを上げる。
これが決して悪いこととは言いませんが、それがもしお客様にとってはデメリットとなるような
商売になってしまっていると、どんどんお客様は離れていきます。
もしコロナがある程度収束してきたり、他のチャネルで商品を売る方法が確立できても、
「あそこで良い思いをしなかったから」と、もう選んでもらえなくなるかもしれません。
そうなれば、結局自分たちが割りを食います。
長い目で見る余裕がない時ほど、こうした感覚は忘れがちになるものです。
今の売り上げを作ることも大切なので、全てを否定するつもりはさらさらありませんが、
少し意識をしておいてもらえると嬉しいなーと思います。